2005年にオートバックスのカスタマイズ専門店カーズショーより発売されたConcept Rの開発記です。

当初、この企画はスバルカスタマイズ工房(株)様よりの依頼で2004年のオートサロン向けに製作されたアステポーペと名づけられた車でした。前年の年末に掛けて制作され、制作期間は約一ヶ月でした。

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元々この企画はワイドボディーする提案を行った訳ですが、カスタマイズ工房ではこの企画の前にインプレッサのワイドボディーを量産化しておりました。なぜカスタマイズ工房がワイドボディかと申しますと、富士重工業(株)内でバスの製造をしていて、バスというのは観光会社のよってほぼ一品生産。その加工技術を使いワイドボディのインプレッサを製作した経緯があります。そのインプレッサの次なる商品企画の中に当方でデザインした「アステローペ」の商品化も検討されましたが、費用や製造方法等に折り合いが付かず、同時期に企画が持ち上がったBP/BLブリッツェンの商品化が決定しアステローペはあえなくお蔵入りとなりました。しかしそこにレーシングドライバーでもあるプローバの吉田さんから電話があり「今、オートバックスとコンプリートカーの企画を立ち上げているので、手伝って!」と言うことになり、急遽その企画に合流することになります。

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そんな私が皆さんとお会いすると、「レガシィをベースにコンプリートカーを作りたい!」とのご要望。更に話してみると私も含めて「アステローペ」の量産化を望む声が大きく、それをリファインしたデザインで製品化する方向で話がほぼ固まりました。
通常ですと、手作りでこれらのマスターモデルを製作する所ですが、今回はCADを駆使してデザイン設計をする事になりました。と、言うのも開発のスピードアップが主たる目的でしたが、フェンダー部分の造作を金型プレスで行う方向で決まったので、全ての整合性を良くするためにデジタルでの開発がベストと判断しました。
もちろん自動車メーカーから車両のデータが出るはずもなく、デジタイザ(非接触3次元測定)を使いノーマルボディをスキャンして、3Dモデル化を行いました。

当方で使用のCADはThinkDseignです。ノーマルの取り付け部分などのラインを抜き出し、そこから新しいライン→面を作っていきます。

三次元で作っていくと意外に実際と画面の中の差異が分かりづらいですがそこは経験でカバーです。

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データ製作が完了したので今度は立体化を行います。
切削は都内にある協力会社さんに削って頂きました。5軸の切削マシンでの製作になります。材料はコスト優先で発泡ウレタンを使用しています。
それでもバンパーまるごと削れないので分割して切削です。

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切削モデルが完成したので、そこからFRP型を起こします。これは福島にある協力工場さんに依頼して製作しました。

発泡ウレタンで切削したモデルをサーフェイサーなどで表面を目止めします。この目止め作業が結構大変。発泡ウレタンの「目」にも寄りますが、コストを落とすと目が荒くなるので「目止め」が結構大変になります。次に離形処理をしてフィイバーを積載して型を製作します。
型が完成すると、製品の完成になります。

フェンダーなどのボディ加工は群馬にある会社さんが行い、その車両に対してFRP製品を合わせて行きます。ここで調整したFRP製品を型に戻して、量産品のトリムラインをトレースします。

ブリスターフェンダー化の作業ですが、拡幅部分を切りとばして、プレスで作ったフェンダーを溶接してくっつけてます。
その後第1号車が完成となります。

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完成直後雑誌「クラブレガシィ」での取材が入っていたので早速箱根で撮影となりました。この日は紙面内の取材ページと表紙用の撮影でした。山の上は霧が凄くて良く言えば幻想的な写真が撮れた様子です

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いろんなネーミング案があがり、同時に当方でロゴデザインを行いました。もう少し違った名前も考えたのですが、「Concept R」が採用されました。ちなみにオレンジはオートバックスのコーポレートカラーです。

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いつもお願いしているカメラマンに依頼して写真撮影となりました。場所は「木更津にあるかづさアカデミーパーク」。ロケハンを頼んでいくつかサンプルを見てここに一発で決まりました。途中アクアラインでの撮影を織り交ぜの撮影でした。
ちなみにここでの車撮影は非常に多いそうです。

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写真を撮影した後にカタログ製作を行いました。
イラストレーターを使用してカタログデザインを行いました。オートバックスさんからの要望で3つ折りのカタログになり、紙質にこだわり制作。とにかく質感重視で制作いたしました。

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原案スタートが2003年9月。商品化が2005年11月とこの手のプロジェクトとしてはかなり長期なモノになりましたが、無事に完成しました。このプロジェクトに協力して頂いた皆様ありがとうございました。